藤江 顕にはどのように英語が聞こえているか?


仕事で英語を使うことが多かった私ですが、実際のところ使い物になっていたのでしょうか?

その前に、どういう場面で英語を使う必要があったかをご紹介します。

赴任していたケニアやナイジェリアでは、その国の政府や仕事相手とは英語でやりとりをしなければなりません。また、買い物や食事といった日常生活でも英語です。そして、仕事相手はアフリカの人だけでなく、国連機関や欧米の人とのやりとりも多かったです。国際会議もしょっちゅうで、さすがに議長はプレッシャーがありましたね。職場内でも現地採用のスタッフは日本語が分かりません。訓練を英語でやる必要があります。

それでも、JICAの事務所で働いている限りは周囲に日本人の同僚がいて、日本語で話す機会もあります。アメリカ連邦政府機関や国際機関で働いていた時は、日本人は自分一人なので日本語を使う機会は皆無でした。何週間か日本語を口から発する機会がない、なんてこともありました。

そんな私は英語がペ~ラペラか、というとそんなことはありません。公立中学校に入学してからアルファベット26文字を学んだ学校英語一本やりの私は、かなり残念な感じです。(サンシャインのプログラムは子供達に同じような苦労をさせたくない、という反省に立っています)

大人で「言いたいことはなんとか言えるけれど、相手が何を言っているのかさっぱり分からない」という方は少なくありません。私も同じようなものです。

この「相手が何を言っているか分からない」という状態はいくつかの要素に分解できます。

1)単語が分からない
2)単語は分かるけれど、全体として何を言っているのか分からない
3)相手の言っていることが、そもそも音として入らない

私の場合は、受験英語は頑張ったので1)と2)は意外と大丈夫なのです。
問題は3)です。そもそも、相手の言っている言葉の音が自分の耳でキャッチできない(正確には脳が認識できない)。

例えるならば、吹雪の山で救助を求める無線が所々聞こえない状況。「こ..ら、...じえ。現.、さ..めいが..バーク中。位置は、...の上、約5...ル」

これでは楽にコミュニケーションはとれません。
では、どのように対処していたかというと、語彙力で穴埋めをする技術、会話の中で分からなかった箇所を何気に確認する技術を身に着けていったということです。半年後に海外赴任するという大人の方には伝授しますが、子供には英語の音をキャッチする能力を身につけさせてあげたいですよね。

このあたりは科学的な研究が積み重ねられていて、人間は産まれた時にはどのような音も聞こえるようにできているけれど、成長とともに最も耳に入る言語に合わせてチューニングされてくると言われています。日本語と英語では使われる音域も違うので、音そのものが脳で認識されないということが起こり得ます。

そして、発音。英語の耳を持つ人に届く音を出さないと、どんなにいいことを言っても耳を傾けてもらえません。「日本の発信力強化」のためには、コンテンツ、ロジック、見せ方等々を総合的に高めていく必要がありますが、小さいころから身に着けられるのは「相手に受け止めてもらえる音の出し方」=発音です。

国際会議やビジネスの場だけではありません。生活の場でも同じです。宮崎イオンのフードコートにも入っている世界的チェーンのサンドイッチ屋さん。パンから具材まですべてを自分の好みで選べるのがウリですが、ニューヨークのお店で注文するのは大変です。英語の音で発音しないと(先ほどの逆で)相手には「..いパンの..くインチ。ハムと..チーズ。トマトと..タス。...ドレッシング。..ち帰り」と聞こえてしまい、欲しいものがもらえないことになってしまいます。注文通りのものが得られるのはいつも幸子先生でした。

2020年英語教育改革・入試改革で重視されていることの一つは「話す(やりとりする)」能力です。一方的に言うのではなく、対話する(相手の言うことを聞く、自分の意見を言う)能力が求められてきます。

そのためには、「音」に関するスキル(聞く、発音する)は避けて通れません

小学英語の必修化に向けて、ともすると「発音は下手でもよいから、まず話すことが肝心」といった議論が堂々と語られます。英語または英語教育への敷居を低くするという意味では一理あるのですが、社会に出てから英語を活用するという観点ではお勧めできません。ましてや、「発音は現場で指導できないから」といった事情が背景にあるのだとしたら本末転倒と言わざるを得ません。社会で使える英語を身に着けさせるという英語教育改革の目的を達成できるような方法を考える必要があります。

サンシャインでは、音に関するスキルを磨くということを揺らぐことなく重視していきますし、そのために外国人講師を雇うというコストをかけていきます。これが子供達が社会に出てから、英語を使いこなしていくための道ですから。

サンシャインの生徒達にはしばしば嫉妬させられます。小さいころからやっている生徒さんは、"v"と"b"、"m"と"n"が異なる音として認識できていますし、"l"と"r"を正しく発音することができます。中学生はリスニングの問題は余裕でできているようですね(これから配点が高くなっていきます)。彼らが、英語という翼を得て、どのように羽ばたいていくか、今から楽しみです。

(この項  おわり)

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